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PIKANDA PART2

2011.2.1 (長野県・N氏により開発中の) 国産雪崩エアバッグ (1)  シリンダーの高圧化・小型化

雪崩エアバッグを開発中の長野県のNさんがyoutubeにアップしていた、自作エアバッグの展開テストの様子を貼っていたのですが、残念ながら現在は見ることができません。


Nさんのエアバッグは間違いなく国産の雪崩エアバッグ付きバックパックの第1号ですが、この記事の作成時点では次の様なシステムになっていました。

Nさんのエアバッグは当初、2つで1000mlのシリンダーに2.5MPa (=約25気圧)のエアーを入れていました。これは大気圧で25Lの空気になり、つまりNさんのエアバッグ容量は25Lということになります。

スノーパルスが75Lの動作であることを考えると若干少ないように感じますが、実際使用には必要十分なサイズです。

このプロトタイプの問題点として、シリンダーが1000mlもあって重くかさばるため、山で使うのには携帯性がイマイチということにありました。

加えて、こうした圧縮空気のシリンダーを扱う場合は、高圧ガス保安法が大きな壁となって立ちはだかります。法律で10気圧を超える圧縮空気の取り扱いが厳しく規制されているのです。

この問題に真正面から取り組むと相当の金額がかかってしまい、その分、製品価格が相当高額になってしまう可能性があるわけです。


ところで、ダイビングの領域ではエアフィンと呼ばれる小型シリンダーを使った簡易潜水器が開発されていて、ここで使われている容量98mLのシリンダーは約200気圧とかなり高圧ですが、実はこのシリンダーは法律では何の規制されていません。シリンダー容量が100mL以下のものは高圧ガス保安法の対象外になるので、誰がどう扱っても自由なのです。

Nさんは現在、エアフィン・シリンダーを採用することで、法に規制されない形でシステム全体を小型化することを追求しています。

まず手始めとしてとして現行のシステムの耐圧性能を試験されていますが、400mLのシリンダーに約40気圧の空気を入れてシステムを検証した結果、全く問題ないことがわかりました。次は、さらに5倍も高圧の200気圧のエアフィン・シリンダーを使ってのテストということになるのでしょう。

エアフィンのシリンダーは1本98mLで200気圧ありますから、1気圧では約20Lの空気となり、Nさんのエアバッグの拡張にはほぼ十分な量を確保できるというわけです。もしシリンダーを2本使えば40Lです。さらに既存メーカーで採用されている理論を使えば、シリンダーから出てくる気体の倍の容量のエアバッグを拡張させることが出来ます。

日本国内で比較的安価に入手でき、しかも誰もが手軽に扱える合法的な雪崩エアバッグ・・・。個人での取り組みには限界がありますし、製品化にはまだ幾つか課題があるようですが、大きな一歩ですので今後の展開を楽しみにしたいと思います。
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    01:27 | Trackback : 0 | Comment : 2 | Top
Comment
2011.02.01 Tue 20:10  |  長野のスキーヤー #-
詳細な説明ありがとうございました。
なかなか自分だとここまで気が回らないものです。

レギュレータのあたり、ちょっと誤解があるようなので
メールいれておきました。

snowpulseの続報も期待しております。
でわまた。
  [URL] [Edit]
2011.02.01 Tue 23:16  |  PIKANDA #-
長野のスキーヤーさん。文章を少し直しました。
ご指摘ありがとうございます。

それにしてもデモが上手ですねえ。何度も見てしまいました。一点だけ、展開前のザックの形をもう少し見せていただけたら、もっと良かったように思いました。

またお願いしますね~。



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