2011.7.27 カムイミンタラを行く(6) 白雲岳避難小屋~北海岳~旭岳~旭岳温泉(完)
7月27日、入山5日目の朝は2時半に目が覚めました。

テントサイトが雪渓から近いからなのか、夜はこれまでになく寒くあまり熟睡出来ませんでした。ここまでで一番結露のひどい朝でした。
天気次第では裏旭でもう1泊と思っていましたが、昨日の予報ではこの先もう好天は望めないということらしいので、今日中に山を下りることにします。
山中で最後となる朝食をとり、午前4時50分白雲岳避難小屋を後にします。昨日歩いてきた高根ヶ原、忠別岳、はるかに霞むトムラウシなどに背を向けて歩き出しました。

白雲岳の分岐をまっすぐ北海岳に進みます。
「雪の沢」

「花の沢」

北海平をゆるやかに登る。

2グループとすれ違って一登りで北海岳山頂に立つとようやくお鉢平が望めました。源頭とは言ってもこちらは火山性地形。有毒ガスが底に溜まっているはずです。残念ながら三川台付近の景色を見てしまった後では、もうどこを見ても感動は得られなくなってしまっていて、まるで消化試合のようにのろのろとお鉢のヘリを進むのでした。

やがて間宮岳の分岐。そして砂礫の道を下ると裏面にべったり雪渓を残した旭岳はもう目の前です。裏旭の幕営指定地は無人でした。

雪渓と急なザレを登って、旭岳山頂に9時20分に到着。もうガスが上がってきており、四方を見渡しても大して景観は得られませんでした。

10分ほどザックを枕にして足を伸ばして休みます。展望が無いだけで風も寒さもありません。下り始めるとそこはロープウェイからの日帰りの人が沢山登って来ます。疲れて動かなくなった子供を背負ったお父さんが汗だくになっています。ペットボトル片手の親子もいます。
初めてここを登った時、山頂付近でまるで会社帰りのように革靴と手提げ鞄の人を見て驚いた記憶がありますが、今もあまり変わっていないようです。

雲がなかったら絶景のはずなのですがこの日は全くダメでした。

7合目で一度休憩したあとは、シューシューという地獄谷の噴気の音を聞きながら、姿見までテンポ良く下りていきます。
やがて観光客で賑わう姿見の池の展望所に到着。担いでいる大きなザックをまじまじと見られて「縦走?」と話しかけられました。

10分ほど楽しくお話などしてから、ロープウェイ駅まで両側に白い花が咲き乱れる、文字通りの「花道」を行きます。
午前11時30分にロープウェイ姿見駅にゴール。十勝岳温泉から入山して、ちょうど96時間でした。
5日目 歩行距離 11.0km (累積66.5km) 休憩を含む行動時間 6時間40分 使った水(食事用を含む)約1200ml 給水0ml
荒々しい火山と美しい花のコントラストが見事な十勝連山、
ナキウサギの石垣山、オプタテシケ山からコスマヌプリの間の山深さ、
三川台付近の源頭に残された原始の森、黄金が原の草原とエゾイチゲのお花畑、
トムラウシの巨岩と湖沼群、ヒグマの闊歩する忠別から高根ヶ原に至る広大な平原・・・
そしてまた火山の旭岳。
歩き通した66kmの間に見たものは、すばらしく変化に富んだ、原始からの自然の姿でした。
日常に戻った今も、目に焼き付けてきたあの大自然がいつまでも失われることのないようにと願わずにはいられないのでした。
(完)
7/23十勝岳温泉~カミホロ避難小屋
7/24カミホロ避難小屋~美瑛富士避難小屋分岐
7/24美瑛富士避難小屋分岐~双子池手前ビバーク地
7/25双子池手前ビバーク地~トムラウシ南沼
7/26トムラウシ南沼~白雲岳避難小屋
7/27白雲岳避難小屋~旭岳温泉

テントサイトが雪渓から近いからなのか、夜はこれまでになく寒くあまり熟睡出来ませんでした。ここまでで一番結露のひどい朝でした。
天気次第では裏旭でもう1泊と思っていましたが、昨日の予報ではこの先もう好天は望めないということらしいので、今日中に山を下りることにします。
山中で最後となる朝食をとり、午前4時50分白雲岳避難小屋を後にします。昨日歩いてきた高根ヶ原、忠別岳、はるかに霞むトムラウシなどに背を向けて歩き出しました。

白雲岳の分岐をまっすぐ北海岳に進みます。
「雪の沢」

「花の沢」

北海平をゆるやかに登る。

2グループとすれ違って一登りで北海岳山頂に立つとようやくお鉢平が望めました。源頭とは言ってもこちらは火山性地形。有毒ガスが底に溜まっているはずです。残念ながら三川台付近の景色を見てしまった後では、もうどこを見ても感動は得られなくなってしまっていて、まるで消化試合のようにのろのろとお鉢のヘリを進むのでした。

やがて間宮岳の分岐。そして砂礫の道を下ると裏面にべったり雪渓を残した旭岳はもう目の前です。裏旭の幕営指定地は無人でした。

雪渓と急なザレを登って、旭岳山頂に9時20分に到着。もうガスが上がってきており、四方を見渡しても大して景観は得られませんでした。

10分ほどザックを枕にして足を伸ばして休みます。展望が無いだけで風も寒さもありません。下り始めるとそこはロープウェイからの日帰りの人が沢山登って来ます。疲れて動かなくなった子供を背負ったお父さんが汗だくになっています。ペットボトル片手の親子もいます。
初めてここを登った時、山頂付近でまるで会社帰りのように革靴と手提げ鞄の人を見て驚いた記憶がありますが、今もあまり変わっていないようです。

雲がなかったら絶景のはずなのですがこの日は全くダメでした。

7合目で一度休憩したあとは、シューシューという地獄谷の噴気の音を聞きながら、姿見までテンポ良く下りていきます。
やがて観光客で賑わう姿見の池の展望所に到着。担いでいる大きなザックをまじまじと見られて「縦走?」と話しかけられました。

10分ほど楽しくお話などしてから、ロープウェイ駅まで両側に白い花が咲き乱れる、文字通りの「花道」を行きます。
午前11時30分にロープウェイ姿見駅にゴール。十勝岳温泉から入山して、ちょうど96時間でした。
5日目 歩行距離 11.0km (累積66.5km) 休憩を含む行動時間 6時間40分 使った水(食事用を含む)約1200ml 給水0ml
荒々しい火山と美しい花のコントラストが見事な十勝連山、
ナキウサギの石垣山、オプタテシケ山からコスマヌプリの間の山深さ、
三川台付近の源頭に残された原始の森、黄金が原の草原とエゾイチゲのお花畑、
トムラウシの巨岩と湖沼群、ヒグマの闊歩する忠別から高根ヶ原に至る広大な平原・・・
そしてまた火山の旭岳。
歩き通した66kmの間に見たものは、すばらしく変化に富んだ、原始からの自然の姿でした。
日常に戻った今も、目に焼き付けてきたあの大自然がいつまでも失われることのないようにと願わずにはいられないのでした。
(完)
7/23十勝岳温泉~カミホロ避難小屋
7/24カミホロ避難小屋~美瑛富士避難小屋分岐
7/24美瑛富士避難小屋分岐~双子池手前ビバーク地
7/25双子池手前ビバーク地~トムラウシ南沼
7/26トムラウシ南沼~白雲岳避難小屋
7/27白雲岳避難小屋~旭岳温泉
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