もともとは蓼科山に登ろうなんて、これっぽっちも思っていなかった。
ちょっと天候が変わるとあっという間に厳しい状況になる11月はあまり山に入る気もしないけれど、金曜夜、天気図を見るとこの週末は南の方は大丈夫そう。なんとなく、夜叉神峠から鳳凰三山にテント持ってあがろうかなんて、身の程知らずにも思い立っていそいそと準備を開始した。
午後11時30分、仙台を出発。一路南へ向かうけれど、ちょっと忙しかった今週の疲れがどっと出てきて、宇都宮を過ぎてしばらくすると強烈な睡魔に襲われる。やむなく都賀西方S.A.で仮眠を取って目が覚めると午前3時半。ここから東京を通って芦安まで行く積もりだったけれど、なんだか都内を通るのが億劫になってきた。
それより今年開通してから未だ通ったことのなかった北関東道を通って上信越の山にでも行こうかと、急遽方針変更。ノートパソコンを開いてとりあえずあれこれ検索をしていると、「北八ヶ岳の蓼科山は美しい円錐形の火山で、諏訪富士と呼ばれて人気が高い」とか。
そういえば佐久、浅間山、北八ヶ岳周辺は今まであまり馴染みが無かった地域。正直に言ってしまうとあまり魅力を感じていなかった地域なのだけれど、高速の開通で近くなったことだし、では行ってみましょう、ということにした。百名山でもあることだし。
Machiさんに知らずしらず影響されてか、いつの間にか百名山制覇を考えてしまうようになっているのには驚きだ。しかしいい山に登ろうと思うと、やっぱり百名山は外せないんだよね、なんて思いつつ驚くほどあっさりと高崎に抜けて上信越道に入る。
横川付近で再び眠気の限界に達してSAで仮眠。今度は朝まで起きなかった。
6時に目覚めると駐車場はすでに満杯。まだ眠気を感じつつも車を出して佐久JCTから中部縦貫道に入り、中山道に降りてビーナスラインへと左折し、ようやく蓼科山麓に入った。
一番簡単な7合目駐車場から登ろうと思っていたのに、ボーッとしていていつの間にか通り過ぎてしまい、ほとんど白樺湖まで来てしまった。スズラン峠を越えるとまた登山口があるようなので、そこから登ることにした。
GPSへの地図の取込みとプリントアウトは、徘徊しながらの思いつき登山には欠かせない作業となった。通信環境を考えればサービスエリアあたりでやっておくべきだったことを登山口でする。慣れてきたので5分くらいで完了できるようになってきた。何よりも蓼科高原あたりでは通信環境が抜群にいいので助かった。
8時30分、女神茶屋前の駐車場に車を止めて山道に入っていく。林間に差し込む朝日が登山道の笹や苔を照らし出して美しい。



その後は樹間でほとんど展望のない急坂を単調に登る。5才くらいの女の子を連れた夫婦が同じころに駐車場に着いて登り始めていたけれど、小さい子を登らせるにはちょっと大変な山道と季節だなあと思う。自分が別ルートから下山して車を出した15時半でもまだ戻っていなかった。あんな小さな子が11月に7時間以上も山歩きをしているのか、とちょっと心配になった。
さて、森林限界を超えて白樺の枯れ木の林を抜けると山頂下の岩稜帯のトラバース道になった。振り返ると南アルプスと南八ヶ岳の山々。


良いお天気となって山頂では多くの人が南北アルプスの遠望を楽しんでいた。
南アルプス、北岳方面。

八ヶ岳

中央アルプス、木曽駒と宝剣岳か。

北アルプス、後立山。鹿島槍と五竜が重なって見える、その右に白馬三山。

そして、槍ヶ岳と穂高連峰。

2500メートルオーバーの山頂部は旧火口で、だだっ広い。日陰では岩に霜が付いて滑り、水たまりも凍っていた。

蓼科山頂ヒュッテもすでに閉鎖。左端に浅間山。

南北中央アルプスは全部見えるのに、富士山はどこにも見えない。あたりまえかも知れないけれどちょっと寂しい。

開発されつくされた白樺湖周辺のリゾート地が見えてしまうのはちょっと残念。白樺湖の向こうはお隣の百名山、霧ヶ峰・車山。

帰りは蓼科山荘から天祥寺原へ下りる。

滝の湯川沿いの平坦地に下りたって蓼科山を見上げる。このルートは静かで、途中で登ってくる1人とすれ違っただけであった。

誰もいない静かな山道を歩くのは素晴らしいけれど、ちょっとワクワク感が足りなかったのは、山麓の自然度が薄いからなのだろう。

長い山道を歩いてようやく車道に出ると、駐車場まで20分ほどの登り返しが待っていた。
8:38 1727m 女神茶屋前
11:03 2530m 山頂h着
11:45 2530m 山頂発
12:30 2357m 蓼科山荘
13:33 1962m 天祥寺原
14:31 1649m 竜源橋
14:48 1727m 女神茶屋前

青:登り 赤:下り
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