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2011.9.11 三斗小屋温泉に行きたい(3) 煙草屋旅館の女将さん

テントを張って遅い昼食をとり、落ち着いた時分にひと風呂浴びに行くことにした。

露天風呂には外からショートカットしないようにと言われていたので、玄関から入って正規ルートをとる。タオルを持ってこなかったので一枚購入しようと思い、ちょうど目の前に出てきた女将さんに売りもののタオルがないかと尋ねてみた。

「ああ、テント」、と顔を憶えてくれたようで「なんだい、タオル持ってこなかったのかい。テントは可哀想だから余っているのをあげるよ。」と、小銭を出したのを受け取ろうとせずに、一枚分けてくれたのだった。わざわざビニール袋から出して手渡してくれたのは、ゴミに困らないようにとの細やかな心遣いであった。

好きこのんでテントなんだけど・・・とは言わずにありがたくこのタオルを頂戴した。それ以後、女将さんは顔を合わせると私の事を「テント」、と呼んであれやこれやと世話を焼いてくれるのだった。履き替えたサンダルまで「それじゃ小さいだろ、こっちの大きいのにしな」、と。
そして、「玄関は一晩中開けておくから夜中も入りにきなよ。星がすごいんだよ・・・。」



10人くらい動かないで静かに浸かっている露天風呂をさっと浴びて、一度目は早々に出てきた。テントに戻ってもう1杯アルコールを入れると、あっという間に眠くなってしまった。

うつらうつらしていると次第に暗くなってくる。完全に日も落ちるとしばらくの間は各部屋に明かりがついて、時折騒がしい声が響いてくる。それも夜9時の消灯時間を過ぎると急に話し声もしなくなってしまった。時折パッと空が明るくなって遠雷が低く響き、小雨がぱらついてきてテントに当たる。


浅い眠りを繰り返していると、夜中の2時頃にトイレに行きたくなって完全に目が覚めてしまった。

外をのぞくと残念ながら星の一つもない闇夜だけれど、「夜中も入りなよ」という女将さんの言葉を思い出して、トイレを借りに行くついでにもうひと風呂入ることにした。

ヘッドランプを点けて闇の中を宿の玄関に向かう。女将さんの言った通り鍵は掛けられていなかった。

靴を脱いで廊下に上がると、障子を閉められた部屋の前にちょこんと小さな履き物が1人分だけ揃えておかれていた。そこで寝ているであろう人を起こさないように出来るだけそっと露天風呂へと抜ける。

湯船に浸かってヘッドランプを消すと、漆黒の中を流れ落ちる湯の音と秋の虫の声しかしない。女将さんの言うとおり、良く晴れた新月の夜にはきっと素晴らしい体験が出来るのであろう。


いつまでも入っていたいような気がしたけれど、ほどよいところで湯から上がり、そっとテントに戻った。

翌朝5時すぎ、まだ薄暗い中をテントを畳んで隠居倉へと登り始めた。朝食の準備で忙しいであろう女将さんには顔を合わせずに宿を後にした。

お世話になったお礼をいうために、今度は、星の綺麗な夜を狙って訪れてみようと思う。



(完)

消灯前の煙草屋旅館
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翌日はガスの中を三本槍岳、朝日岳と巡って下山
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