PIKANDA SEASON 2
2011.12.4 各リスクレベルにおける死亡事故の度数分布
日本では雪崩リスクを評価する際に、欧米やニュージーランドのような5段階のスケールが使われることは今のところほとんどありません。(昨シーズンは白馬のNPOが試験的にHPで公開しているのが唯一でした。)
もしかすると、危険を低く見積もって万一事故が発生したときの責任問題を恐れてなかなか導入が進まないのかも知れません。
実際、昨シーズンの北米のデータ(avalanche.org.)では、リスクが下から2番目と3番目で合わせて死亡事故の半数近くを占めています。

下はかなり古いスイス(SLF)のデータですが、なんと死亡事故の86%がリスクレベル3以下で起きていました。

もっとも、下から2番目でmoderate = 中くらい、3番目でconsiderable = それなりに、ということですから、この5段階評価がそもそも一般的な人間の感覚からずれているという批判もあります。
いずれにしても相対的に低いリスクの予報が安心感を与えるため、かえって事故に巻き込まれることが多くなってしまう可能性は否定できません。将来、日本の各地でこの5段階のリスク評価が普及したとしても、その解釈には十分注意する必要があるということを、先を行く欧米のデータが示してくれているような気がします。
もしかすると、危険を低く見積もって万一事故が発生したときの責任問題を恐れてなかなか導入が進まないのかも知れません。
実際、昨シーズンの北米のデータ(avalanche.org.)では、リスクが下から2番目と3番目で合わせて死亡事故の半数近くを占めています。

下はかなり古いスイス(SLF)のデータですが、なんと死亡事故の86%がリスクレベル3以下で起きていました。

もっとも、下から2番目でmoderate = 中くらい、3番目でconsiderable = それなりに、ということですから、この5段階評価がそもそも一般的な人間の感覚からずれているという批判もあります。
いずれにしても相対的に低いリスクの予報が安心感を与えるため、かえって事故に巻き込まれることが多くなってしまう可能性は否定できません。将来、日本の各地でこの5段階のリスク評価が普及したとしても、その解釈には十分注意する必要があるということを、先を行く欧米のデータが示してくれているような気がします。
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Comment
( )内は何のパーセンテージですかね?
それはそれとして、事故発生率をグラフにしたがる人(組織)は良くありますが、どうしてもそれが「各条件下で雪崩事故に遭遇する確率」に見えてしまいがちなので、公開する意図が理解しにくく感じます。
(警鐘を鳴らすという意図の場合もあるのでしょうけど)
1. 遭遇数/入山者数 の統計によって、まずは遭遇率を客観的に知ること
(バックカントリーは難しくても、オフピステはある程度総数をカウントできるスキー場もあると思います)
2. 文中にもありましたが、表現方法の工夫。良く欧米人がいちゃもんを付けてくる日本の「雪崩注意報」は、実は適切な表現だと思っています。例の「斜面に雪があるかぎり雪崩リスクは存在する」というやつですね。とはいえ、注意報と警報しか無いのでは、あえて雪山に分け入りたい者にとって有益ではないのも事実ですが。
それはそれとして、事故発生率をグラフにしたがる人(組織)は良くありますが、どうしてもそれが「各条件下で雪崩事故に遭遇する確率」に見えてしまいがちなので、公開する意図が理解しにくく感じます。
(警鐘を鳴らすという意図の場合もあるのでしょうけど)
1. 遭遇数/入山者数 の統計によって、まずは遭遇率を客観的に知ること
(バックカントリーは難しくても、オフピステはある程度総数をカウントできるスキー場もあると思います)
2. 文中にもありましたが、表現方法の工夫。良く欧米人がいちゃもんを付けてくる日本の「雪崩注意報」は、実は適切な表現だと思っています。例の「斜面に雪があるかぎり雪崩リスクは存在する」というやつですね。とはいえ、注意報と警報しか無いのでは、あえて雪山に分け入りたい者にとって有益ではないのも事実ですが。
USグラフの [URL] [Edit]
2011.12.11 Sun 11:28 | PIKANDA #-
えむとらさん
返信おそくなりました。カッコ内の数字はリスクレベルが不明のものを含めたパーセントだと思います。これを除外したものがカッコの無い数字で、それで見るとレベル1~3で78%以上ということになりますね。
>>「各条件下で雪崩事故に遭遇する確率」に見えてしまいがち
確かにそういう見方もできるグラフですけれど、まあ数字は数字ですので・・・私は単純に、事故を分析したうえでの各リスクレベルでの度数、と見ましたけれど。
>>遭遇数/入山者数 の統計によって、まずは遭遇率を客観的に知ること
これはなかなか難しいですね。かぐらとかニセコとか、スキー場がらみのところなら調べやすいでしょうけれど、山スキーする人は入山届け出さないひとも多いですし、なんというか、ゲリラ的に出撃しますから・・・。
今日は八甲田に来ています。あとで記録アップします。
返信おそくなりました。カッコ内の数字はリスクレベルが不明のものを含めたパーセントだと思います。これを除外したものがカッコの無い数字で、それで見るとレベル1~3で78%以上ということになりますね。
>>「各条件下で雪崩事故に遭遇する確率」に見えてしまいがち
確かにそういう見方もできるグラフですけれど、まあ数字は数字ですので・・・私は単純に、事故を分析したうえでの各リスクレベルでの度数、と見ましたけれど。
>>遭遇数/入山者数 の統計によって、まずは遭遇率を客観的に知ること
これはなかなか難しいですね。かぐらとかニセコとか、スキー場がらみのところなら調べやすいでしょうけれど、山スキーする人は入山届け出さないひとも多いですし、なんというか、ゲリラ的に出撃しますから・・・。
今日は八甲田に来ています。あとで記録アップします。
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